辰砂鶴首
平成15年6月 モナコ公国「モナココートダジュール国際芸術際」 出品
鶴首は昔からの伝統のある造形である。ほっそりとデリケートな形がポイントである。辰砂釉の赤い鶴首は、今回のモナココートダジュールのために制作をした。正直を言えば、海外で今回初めて粘土の制限を受けた作品である。
粘土が7㌔以内となると「主張」が難しくなる。そこで鶴首の制作となった。美術展への鶴首出品は初めての経験だったが、大変に東洋的との評価を受け、安堵する。個性的な赤い釉薬と細い鶴首のバランスに気をつけて窯に入れた。焼きあがった朝、珍しく躊躇した。
しかし、妻に「あら、素敵ね」と言われ、大変安心する。力強い作品が多い中で、少しだけ繊細な私を表現することが出来たかなと思う。
同年同月、仙台メディアテイクでの第29回東北現代工芸展へ出品した兄弟分の「辰砂鶴首」は平成15年 7 月宮城県北連続地震で破損する。
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